今回は日本体育大学サッカー部でコーチとして活動されている櫻井 雄太さんに、大学サッカーについてお聞きしました。
日本体育大学サッカー部は2022年シーズン、関東大学リーグ2部において4位の成績をおさめています。
プロフィール
お名前
櫻井雄太
【選手歴】
前橋育英高校サッカー部
日本体育大学サッカー部
【指導歴】
しらとり台SC
明治学院大学サッカー部
日本体育大学サッカー部
ーー指導者になられた経緯について教えてください。
小学生からサッカーを初めてサッカーの楽しさを知り、大学の1、2年生まではサッカー選手を目指して頑張ろうと意識していました。しかし、現実的に難しいと気づいたんです。ただ、プロサッカー選手を目指してるときから、現役は長くても40歳で終わってしまうことを考えると、長くサッカーと関わるためには指導者を目指すことも考えないといけないなとは思っていました。大学に入ってから日体大は体育の教員の免許が取れたり、コーチングに関する授業もあることを知りました。授業を通して良い指導者とは?を学んでいくうちに自分も良い指導者になりたいと思い、指導の道へ進むことを決めました。タイミングよく大学2年生からしらとり台SCで指導する機会を頂き、そこで指導者としての道をスタートすることができました。そして今現在に至るという感じです。
ーー日本体育大学サッカー部の魅力について教えてください。
サッカー場は人工芝1面しかありません。そこに男女合わせて300名ほどが練習しています。授業期間中は朝7時~9時の2時間と放課後の17時から21時の4時間、合計6時間で上手く振り分けて練習していかなければなりません。なので環境面で考えるとグラウンドに対して人数が多く、良い環境とは言えないです。
けれど人数が多い分、男女の関わり、男子・女子同士の関わりは強いです。それは男子部員が女子選手の応援に行くこともあればその逆もある。これが魅力の1つです。また月に1回、木鶏会という男女のミーティングを行っています。これを月1回やることによって、いろんな人と関わったり、熱い想いを話したりします。そういう活動を通して、サッカー部内では確実に仲は広まって強固になっていますね。
Bチームより下のカテゴリーだと40,50名、私のみてる一番下のDチームは70名ぐらいの人数がいて、グラウンドは片面で1時間か2時間しか練習ができません。なのでグラウンドの外でフィジカル練習をやったりサッカー以外の面で補う練習をしています。
ーー日本体育大学サッカー部のプレースタイルについて教えてください。
自由が与えられています。監督がよく言うのが「右行けっていって右に行かせたり、左に行けっていって左に行かせるのではなく、状況を整理して選手の判断でサッカーをさせたい」とよくいっています。それがいい意味でCBがゴール前に侵入していたり、右SBのクロスに左SBの選手が合わせてゴールすること等に繋がっています。そのような意外性が1つの特徴なのかなと思います。
ーー好調の秘訣について教えてください。
ここ数年、本当に良いところまでいくものの3位、4位で終わり、あと一歩のところで昇格には届いていませんでした。その経験を3年間経験してるのが今の4年生です。その4年生も当時1,2,3年生の時は、そんなにリーダーシップを発揮するようなタイプではないと僕は思っていたんですけど、4年生になって試合中にも練習中にも、熱く後輩を巻き込んで厳しい事を言うことも増えましたし、それについていく下級生もまた素晴らしいと思います。そういうのがちょっとずつ噛み合ってきて、じわじわと順位を上げられるようになったのかなと思います。残り3戦(10/28現在)でまだまだ混戦なのでここからが大事だと思うんですけど、引き続き切磋琢磨して勝ち続けられるようにやっていかないといけないなと思います。好調の要因を挙げるとすれば、後期リーグ前の三泊四日で行われた大阪合宿が、非常に大きな意味を持っていたんじゃないかなと思います。そこで結束力を深めるとか、最後の戦術確認するとかできたので。
ーーコーチからみた大学サッカーの魅力について教えてください。
大学の魅力は、いろいろな選択肢がある中で、サッカーを通していい人生を送る基盤を作れることです。大学では部活だけに集中できる環境が、簡単に手に入るとは言えないと思っています。高校では、基本的に平日は授業で、土日は練習や遠征があって、顧問の先生の目もあって半強制的にサッカーに集中できる環境だった人が多かったと思うんですね。でも大学は勉強もありますし、多くの人がアルバイトをしたいとか遊びも含めて活動の幅も広がって、いろんなことをしながら部活に打ち込む人が多いと思います。あとは親元を離れて一人暮らしを始める時期でもあったりとか。要するに自分で行動を選択していく必要があると思います。色んな誘惑があるからこそ、一つのこと(サッカー)に集中することで自分が何をしたいのか、どうなっていきたいのかっていうのは明確になりやすいのかなと感じます。
ーー学生たちに4年間を通してどのように成長してほしいでしょうか。
1つの軸を持った上でいろんなことをトライする、そのような4年間を通して良い人生、良い人間になって欲しいなと思ってます。いろんな選択肢がある中で自分で選択をしていかなければなりません。大学生活には4つの大きなジャンルがあります。勉強・遊び・バイト・部活。「この4つの中で本当に熱中できるものは2つまでだ」と言われたことがあります。振り返ってみると確かにそうだったなと思います。全部やることは難しくて選ばなきゃいけない。バランスを取りつつも、1つの大事な軸はサッカーに向いてくれたらサッカーのコーチとしては嬉しいですね。学生自身がサッカーじゃなくて「これを軸にします!」と決めるのであればそれはそれで良いですけどね。
ーー指導する上で心がけていることはありますでしょうか?
寄り添う時と指導する時のメリハリをしっかりつけるようにしています。それはサッカー面でも生活面でも。なので思ったことをブレることなく、時にはきつく選手に伝えるようにしています。ただし、その後に選手の意見を聞けるような柔らかさを持つことも大事にしています。もちろん怒った後に必ずしも選手から話してくれるわけではないので、難しさはありますが、選手と向き合っていい方向に進んでいけるようなコミュニケーションは心がけています。
ーー大学で競技継続の意思のある高校生アスリートに向けてアドバイスやメッセージをお願いします。
大学サッカーは自分で選んで競技を継続する世界です。なのでいつでもやめることもできます。だけど競技を4年間真っ当することで得られるものは計り知れなくて、一緒に戦う仲間だったりとか監督・コーチ・マネージャーだったり、もっと言えば他の大学と試合をする中で芽生える繋がりだったりとかもあります。色々な事にチャレンジできることが大学生活の良さでもあるんですけど、ぜひサッカーを大学生活の軸として熱く過ごしてみませんか?
大学を目指す上で気をつけなければならない点は、高校の先生と相談をして自分で独断で動かないことが大事かなと思います。先生同士のつながりもあると思うので相談して、行ってみたい大学があれば、もしかしたら練習参加の道もあるかもしれないですし、他には練習試合をやれることもあるかもしれないので。まずは1回大学サッカーに足を踏み入れて、空気感を体験してここなら自信を持って4年間サッカーを頑張りたいと思えるところに入学してサッカーをやってほしいと思います。
ーーインタビューは以上です!ありがとうございました!
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