今回は膳所高等学校から京都大学へ進学し、大学サッカー部で活動中の酒井 雄飛 選手に、大学サッカーについてお聞きしました。
プロフィール
名前
酒井雄飛(さかいゆうひ)
所属大学
京都大学
出身高校
膳所高等学校(ぜぜ)
学部・学科・学年
工学部 地球工学科 4回生(取材時)
なぜ関西学生サッカーリーグ京都大学へ?
ーー京都大学への進学理由について教えてください。
膳所高校は京都に近く、サッカー部のOBも多く京都大学に進学していました。距離的な近さもあって、これまでも膳所高校サッカー部は京都大学サッカー部と交流がありました。その一つの交流として京都大学サッカー部は年に1、2回、説明会を含めたリクルーティング試合をしています。そういった交流をしていく中で京都大学サッカー部に興味を持ち始めました。膳所高校は進学校でもあったため、自分自身も文武両道でやっているという自負は少なからず持っていましたが、京都大学サッカー部との練習試合をしていくうちにまだまだ自分よりもはるかに上のレベルで学業もサッカーもやっている方たちがいることを目の当たりにして単純にとても憧れを抱きました。また、勉強面では、海洋研究開発機構という国の研究機構から研究員の方が膳所高校に講演しにきたことがありました。その講演を通して海洋の開発に興味をもち、自分でいろいろ調べてみると、京都大学にそういう分野を学べる学問があったため京都大学への進学を決定しました。
ーー大学の情報や部活動の情報をどう入手していましたか?
大学の情報は学習塾に通っている友人や京都大学の先輩から得ていました。京都大学サッカー部に関しては、1年間のスケジュールが記されたイヤーブックという冊子を京都大学サッカー部から一人一冊配っていただき読んでいました。それに関連して、SNSをフォローして試合結果や試合の動画を見ていました。
大学サッカーについて
ーー京都大学サッカー部の1週間のスケジュールについて教えてください。
火曜日:オフ
水木金:夕方に練習
土:Bチームの公式戦、Aチームは練習
日:Aチーム学生リーグ
月:紅白戦、Aチームはリカバリー
週一回紅白戦があるのでみんなにチャンスがありモチベーションに繋がっています。人数の規模的にも60名と多くはないので紅白戦をやりやすい規模感となっています。
ーー京都大学サッカー部の魅力について教えてください。
弊部は創部以来学生主体を全面に押し出しています。
学生主体を特徴にしている部活は今の時代珍しくはないですが、京都大学サッカー部は1925年の創部から伝統的に学生主体ということを全面に押し出してやっています。近年では部署制度という選手一人一人に役割を与える制度ができました。
京都大学への入学のハードルの高さから人材を安定的に確保できないという不確実性はあるもののこの制度があることで、毎年毎年継続した活動を積み重ねていくことができています。この部署制度は個人の成長やチームの強化にも繋がっています。
活動の幅も広がり、広報やスポンサーの獲得などの部分にも積極的に活動するようになりました。
このように各々の興味・関心に合わせて特徴を発揮しやすい体制があることが魅力の一つかなと思います。
今現在部署は合計10部署あります。心技体を扱いチームの直接的な強化を担う強化部が5部署、チームを内外にプロモーションし魅力的なチームを追究する事業部が4部署、チームの運営に必要不可欠な業務を担う運営部が1部署です。
ーー部員同士の関係について教えてください。
風通しの良い部を目指しています。そのためにいつでも首脳陣に匿名で意見を投げかけられるフォームを作成したり、1回生から4回生までの縦割りでファミリーを作ってミーティング時に話し合ってもらったり自主的に食事にいったりしています。こういう取り組みをすることで、できるだけ変な上下関係は取っ払って風通しの良いチーム作りを心がけています。風通しをよくすることで、下回生にも良い意味で特徴的な選手はいるのでその子たちが特徴を発揮しやすくなり、チームの総力がさらに大きくなると思います。このような取り組みもあって今では部員同士メリハリをつけながら良い関係を築けています。
ーー京都大学サッカー部がリクルーティングをしている理由について。
私たちは、高校生に京都大学サッカー部だけでなく「大学サッカーを広く選択肢として持って欲しい」という思いが強くあります。京都大学入学に関しては勉強というハードルがあると思います。ですが、このような活動を通して大学サッカーについてもっと知ってもらい、その上で京大サッカー部に入るために京都大学に入学したいという学生を増やしていきたいと思っています。
ーー副将として意識していることは。
仕事としては公式戦の選手の選抜とゲームプランの作戦が主です。これらは全選手にとってデリケートな問題なのでしっかりした評価基準を持って公平に判断しなければいけないところですので少し慎重になります。ピッチ外では、サッカー部と外部をつなぐ顔のような役割を果たしたいと自分自身思っています。そのためにtwitterで様々な情報を発信しています。そのような活動のおかげで実際にさまざまな企業様にお声かけをいただいていろんなお話しをしていただくこともあります。チームに今足りない部分を外部からサッカー部に持ってくるという役割を果たせているかなと思っています。
ーー大学サッカーにおける今後の目標について教えてください。
チームとしては、関西学生サッカーリーグ3部の優勝、2部へ昇格することが大きな目標です。これに加えて、チームのコンセプトとして理想像と行動指針を定めました。「京大のサッカーに熱狂する」という理想像を定めたので、できるだけチームの先頭に立って自らが体現していき周りの選手を巻き込んでいきたいと思っています。もちろん自分だけが主役ではないので、「みんなの特徴を発揮させながらできるだけチームの総力が大きくなるように」ということに注意を払いながらも自分が先頭に立って「京大のサッカーに熱狂する」という理想像を体現していきたいです。
個人としてはサッカー人生は今後も続けていきたいのでそれに繋がるような活躍をしたいです。
ーー大学サッカーの魅力について。
大学生は、行動範囲も広く自分で制限をかけなければほんとにたくさんの機会が得られると思っています。このインタビューを通して自分の考えを高校生たちに発信することも含め、全国の大学サッカーの仲間とオンラインコミュニティで繋がったり、企業さん、トレーナーさんがやっているようなオンラインセミナーに参加して自分たちのチームにない知識を取り入れたりパーソナルトレーニングを受けてフィジカルを強化したりなど、自分からアクションを起こせばどうにでもできるなと感じています。自分は今まで強豪校の選手たちと比べると練習量や実力では劣ってしまうかもしれませんが、そういった部分で制限を取っ払ってやれることを突き詰めていけば無数にやれることはあると思っています。まだまだ自分の伸び代を感じますし、自分で限界を決めなければ自分次第でなんとでもできるところは私生活や部活動で制限のある高校サッカーと大学サッカーの大きな違いかなと思います。
フィジカル面では高校サッカーとは完全に別物だと感じました。高校よりもトレーニングを積んでいないと当たり負けしますし、怪我をします。またスピードでも圧倒的に負けます。さらには、大学生の方がプレーに関する理解も深いなと思います。入学当初はプレーに関して先輩に教えられることがたくさんあり自分もまだまだだなと感じていました。最近でいえば、今年に入り元日本代表でS級ライセンスをお持ちの方をコーチとして招聘しました。コーチの方にはチームの底上げをしてもらっています。これをきっかけにサッカーへの理解が格段によくなっている印象があります。
最後に、大学サッカーを目指して頑張っている高校生へ
ーー勉強と学業との両立はどうしていましたか?
私自身はとにかく「無駄を作らない」ことに意識を向けていました。高校時代の1日のスケジュールは朝の自主練、授業、夕方の全体練習、帰宅後の勉強という形でした。そのためとにかく勉強面では無駄を作らないことを意識していました。授業で習ったことは授業時間内に覚えるようにし、電車での移動中もすぐに勉強をして、寝る前には暗記物の勉強をしていました。このように隙間でできたちょっとの時間も無駄にしないように勉強をしていました。
一方でサッカーは膳所高校の学業面での負荷が高かったため強豪校に比べると練習量では劣ってしまいますが、それでも膳所高校のスタイルを突き詰めるために短い時間で集中して練習に臨むということは大事にしていました。
ーー大学で競技継続の意思のある高校生アスリートに向けてアドバイスやメッセージをお願いします。(高校生の時から意識していたことやセレクションでの心構え、等)
高校でしかできないチームの仲間だったり先生だったりとのサッカーを思う存分楽しみきって欲しいなと思います。そこに後悔は残してほしくありません。その上で大学を目指して大学でサッカーをするということであれば、今はSNSの時代でもあるので自分の手で広く大学サッカーを調べていただきたいなと思います。
気になる大学に所属する選手に直接連絡をとることも可能だと思いますし、できるだけそこにいる選手がどういった目的意識を持ってサッカーに取り組んでいるのか、自分の希望に合うような部の環境なのか、そういったところを知って欲しいなと思います。
ぜひ自分の手で調べていただいて広く選択肢を持って欲しいです。
他方、競技以外の面も調べていただきたいなと思います。学校の所在地であったり校風だったり理念だったりあとは歴史だったり。これらはサッカー人生だけでなく今後の社会人としての人生に大きく関わるところだと思っていて、例えば東京なのか地方なのかでサッカーリーグ自体も異なり、一人暮らしになるのか実家から通えるのかで住む街の環境も大きく異なると思うのでそのような違いも含めて考えることは大切です。広く調べた上で最終的には自分が納得できる大学を選択して欲しいです。
大学サッカー選手である以前に一学生ですので、キャンパスに通って友達がいて、でもそことは一つ違ってグラウンドに向かいサッカーに取り組む形だと思いますので、やはり学業や大学生活は蔑ろにはできないです。サッカーを続けるにしても大学でできた人脈や先生とのやり取りからの経験は大きな財産となると思います。逆にサッカーをやめるにしてもそういった繋がりだったり経験は活きてくると思います。今から大学のことや大学卒業後の社会に出てからのことをイメージすることは難しいかもしれませんが、少しでも考えられて自分が納得できる大学を最終的に選択して欲しいなと思います。
ーーインタビューは以上です!ありがとうございました!
京都大学サッカー部リクルーティング活動